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アイスショーレポNo.7~NHK杯スペシャルエキシビション~

1月9日、盛岡市アイスアリーナで開催されたNHK杯スペシャルエキシビションの夜公演に行ってきました。今回のチケットは、「大切な友人限定という条件で託されたので」と譲っていただきました。住まいが仙台の近くだからということもあったと思いますが、「大切」と思っていただけるなんて感激です。

仙台から新幹線「はやぶさ」に乗ると、ひと駅で盛岡に到着です。ふくらんだ荷物に、見えてしまった待受は羽生結弦選手。スペシャル・エキシビションを見に行くのね、と思われる方がちらほらいらっしゃいます。

30分ほどで着いた盛岡市は、例年になく雪の少ない冬を迎えている様子でした。雪化粧の岩手山が、北上川の向こうに雄大な姿を見せています。空気は気持ちよく澄んで、日没とともに急に冷えてきました。 会場の盛岡市アイスアリーナは、駅西口のバスプールからシャトルバスで10分ほどのところにあります。昼公演が終わって盛岡駅行のシャトルバスを待つ人の列と、夜公演の入場を待つ人の列が、300人ぐらいずつできていました。

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入場すると、パンフレットが一人一部ずつ手渡されます。中には、写真や戦績に加えて被災地の方々へ選手からのメッセージが載っています。羽生選手は1ページ目で、「明るい未来のために、今、感じる幸せも、辛さも、全てを力に!」と書いてくれていました。どんな困難も乗り越えて進み続ける羽生選手の姿に重なる言葉です。 上の方の席だから温度が高いということはなく、会場全体がかなり冷えています。2~3席ごとに席の間に小さなプラスチックのかごが引っ掛けてあり、中に何か入っています。「点灯試験を行うので首にかけてお待ちください」のアナウンスで、それがLEDライトと分かりました。会場が少し暗くなり、次の瞬間、会場中に点灯したオレンジ色の星・星・星…大きな歓声が起こりました。胸元を見ると、4箇所ずつ光っています。これは楽しみ~

アナウンサーの「東日本大震災から5年」「岩手県の盛岡市」に、2012年に利府で行われたNHK杯以来の東北開催となることが思い出されました。

オープニング   子供達を優しく包み込む大人たちの構図に、すでに泣きそうです。嬌声や大騒ぎは無く、感嘆のどよめきと拍手。メンバーの豪華さに息を呑むという風情でした。

宮原知子さん「翼をください」 始まりと同時に一斉に青いLEDが点灯、会場にいる自分がリンクの一部になったような感覚になりました。復興支援のためのこのショーを一緒に作り上げているような気持ちにさせてもらえます。この曲は、未来に向かって歩んでいこうという強力なメッセージです。ジャンプやスピンに湧き起こる拍手が、無数の青い星をきらきらとまたたかせるのでした。

無良崇人さん「Love Never Dies」 無良選手が滑ると60mリンクが狭く感じられます。力強さと柔らかさの対比が際立ったダイナミックな演技でした。

ここをホームリンクにしてきた佐藤恍彬さん「壬生義士伝」。 戦うイメージを前面に出したプログラムに彼の気概を感じました。今では今年になって新しくできた通年リンクを使っているのでしょう。練習環境が整い、躍進が期待される地元出身のスターに、ひときわ大きく温かな拍手が送られました。

本田武史さん「The Misson」より レジェンド・スケーターと紹介されての演技。彼が高校生だった頃、ラジオのローカル放送で「自分が勝つことで世界選手権の枠を増やせる」と言いながら練習に励んでいることを知りました。若いのにそのようなことまで考えながらやっているのか、と以来、尊敬の気持ちをもって応援してきました。熟練のイーグルはいつ見ても惚れ惚れします。実は放送席に羽生選手が見えてしまったので、半分は上の空。ごめんなさい。

川口悠子さん、A.スミルノフさん「いつも何度でも」 2011年、日本開催となるはずだった世界選手権のために用意された、日本語歌詞のエキシ用プログラム。これは、曲が分かった瞬間から、もう涙が止まりませんでした。思い出せば、震災を経験した後の涙腺の緩み方も普通ではありませんでした。ロシアで安藤美姫選手が優勝したと聞いただけで泣けてきたり、小塚崇彦選手が銀メダルを獲得して、祖父の小塚光彦さんに「報告したら喜んでくれた」という記事を読んだだけでもうるうるとなったりしていました。心が弱り、いつも以上にスポーツの力を必要としていた時期だったように思います。明るくやさしい音楽に高難度の技を美麗に合わせた素晴らしい演技でした。

浅田真央さん「踊るリッツの夜」  出てきて「わああっ!」観客席に近づいて「わああっ!」小道具を並べるだけで「わああっ!」ってなる気持ち、分かります。人生の素晴らしさを全身で表現し、先回りして生きる喜びを見せてくれている、そんなプログラムでした。これはもう、スポーツの力というより浅田真央様の力と言いたいです。

荒川静香さん・本田武史さん・鈴木明子さん・羽生結弦さんのコラボレーション「花は咲く」 放送席で浅田選手がお話をしている間に、リンクにそっと花が置かれ、阿部奈々美先生の振り付けによる「花は咲く」フィギュアスケートスペシャルバージョンが始まりました。 ひざまずく羽生選手に荒川さんが寄り添うシーンだけで、もう胸が一杯になります。荒川さんと羽生選手のレイバックイナバウアーの共演には、ため息のような、悲鳴のような歓声が上がっていました。二人並んでのイナバウアーというと、2012年3月11日にアイスリンク仙台で行われた「復興演技会」が思い出されます。「二人の金メダリスト」となっての再演を目の前で見られるとは、感無量としか言いようがありません。4人の足元から色とりどりの花が溢れ出し,会場全体に広がっていきました。手渡されたガーベラの花言葉は「神秘」「光に満ちた」。失われたものへの祈り、苦しみからの再生の物語に心を添わせつつ、息をするのも忘れて見入りました。

浅田選手と羽生選手、そしてプルシェンコ選手(大きな拍手と歓声!)のタイトルコールから後半がスタートです。

本郷理華さん「Let’s Get Loud」 荒川静香さんの仙台凱旋パレードの車に同乗していた理華ちゃん。はつらつとした演技でしたが、眼下に見え隠れする羽生選手のくねくねと踊る頭が気になって、ついそちらの方を見てしまいました。すみません。

鈴木明子さん「O(オー)」より  12ー13シーズン、宮城県利府町で開催されたNHK杯FSの演技が「人生の中でベスト3に入る演技」だったからと語ってくれたあっこちゃん。後半の盛り上がるところからは翌日のエキシビションでも滑ってくれていました。会心の演技をその場の観客もよく分かっていて、音楽が流れた瞬間の歓声を忘れることはできません。演技も衣装も全く色褪せることなく、美しさを増しているように見えました。

メリル・デービスさん&チャーリー・ホワイトさん「Dog Days Are Over」 豪華な顔ぶれと分かってはいたものの、この辺りから金メダリストがたたみかけるように次々と登場するので、もう倒れそうでした。NHK杯で4回の優勝とアナウンスされていましたが、GPFは5連覇、全米選手権に至っては6連覇だった(今、確かめました)。華麗なステップを踏む足元から目が離せないのに、二人の表情も見たいというジレンマにうれしい悲鳴を上げておりました。

エフゲニー・プルシェンコさん「Grande Amore」 ハイタッチしてもらった羽生選手が「やっべえぞお~!」と喜びに顔を引きつらせていた、あの舞台裏から何年?掲げられたロシア国旗の数が彼の偉大さを物語っていました。どんな演目からもにじみ出てしまうオーラにたじたじとなります。羽生選手の敬慕の思いをこれからも受け止めて、かわいがったり、焚きつけたり(笑)してほしいです。

荒川静香さん「You Raise Me Up」 トリノオリンピック優勝に感動して、熱に浮かされたように何度も見返したエキシビション・ナンバー。演技はますます洗練され、衣装も美しく、素晴らしかったのですが、細すぎるウエストについ目がいってしまいました。出産・子育てをしながら体を鍛え上げ、ここまでの演技をするとは。凄すぎます。

羽生結弦さん「天と地のレクイエム」 本当に特別な音楽、そしてプログラム。以前は記憶を呼び覚まされて見ることがつらかった。でも、羽生選手が向き合う姿勢を貫いてくれるので、今は気持ちを強くすることができます。身体で、表情で表現する1つ1つの意味を、心を開いて感じ取り、受け止められます。振り付けの深化に目を見張りながら、羽生選手がつくり出す空気に同化していった時間でした。氷上に星がきらめき、1羽の鳥が飛んでゆく演出は、希望への道筋を暗示しているかのようです。これからも羽生選手と共に歩むことができる。ただただ「ありがとう」と言いたいです。

浅田真央さんと仙台の子ども達 「ジュピター~未来への光~」 陸前高田市を訪れ、いろいろな悩みと向き合いながらも、このプログラムを創り上げてきた日々を思うと涙なしに見ることができません。リベラの歌声は混じりけのない美しさ。伴奏も生であってほしかったというのは欲張りかな。子供達に手を引かれるようにして立ち上がり滑り出すと、スクリーンに浅田選手が手がけた歌詞が映し出されました。「命の限り 希望 胸に 未来の光を 輝かせよう」。3Aを跳んできた姿に、言葉よりも強いメッセージを感じた方も多かったのではないでしょうか。

羽生結弦さんのソロから始まるエンディング  衣装は「The Final Time Traveler」。みなさん白~青系で揃えましたね?ゆづ・まおのおててつないでくるくるー、待っていました!2人の素敵な笑顔。マイクで代表のご挨拶。「被災地の近くで演技できたことは、ぼくたちの誇り。喜ばしいこと」「まだまだ力になれることたくさんあると思うのでこれからもがんばっていきます」。若い選手や子供達にとっても、このようなショーに出演したことはいろいろなことを考えるきっかけになったに違いありません。スケーターたちが次々と技を披露していきます。川口・スミルノフペアのスロージャンプに歓声が上がり、やがてみんな捌けるのかなーと思ったところに羽生選手が一人、周回を始めます。会場は一気にヒートアップ、「お前、ループを跳べよー」的なムードに(笑)。そして目の前で4Lo!!ちょっとステップアウトだったけれど、表情には余裕がありました。その後、みんなが出入り口を塞ぐようにして立っていたので、ゆづを上がらせないつもり?もう一回?と期待したのですが、何やら言葉を交わして、上がって行きました。そしてマイクを通さない生ゆづの声で「ありがとうございましたああ」。

シーズン中にもかかわらず、盛岡・大阪と2つのショーに出演を決めた羽生選手。どちらも震災復興関連だからこそなのかもしれませんね。怪我なく終えて、世界選手権に向けて、また日々成長されることでしょう。わたしたちは信じて応援するのみです。

次の朝「岩手日報」に2ページにわたってアイスショーの写真が載っていると聞いて、盛岡駅前のコンビニで買おうとしたのですが、「朝5時過ぎから買いに来てて、とっくに売り切れだよ」と言われてしまいました。スケオタ恐るべし!

せっかく盛岡に来たので岡手作り村で南部せんべい作りを体験したり、古い家並みの鉈屋町界わいを散策して、もりおか町家物語館で買い物を楽しんだりしました。羽生選手が訪れた大槌町の復興関連商品のコーナも充実していました。わたしは三陸の和グルミプロジェクト、大槌町赤武(あかぶ)酒造くるみのお酒を買いました。 復興支援のアイスショーを見ただけでなく、買い物を通じた支援もちょっぴりできたし、大槌町の復興の様子についても知ることができたので、充実感を胸に帰路に着くことができました。改めてこのようなアイスショーが東北の地で行われたこと、そして自らの足で被災地を訪ねてくれる羽生結弦選手に感謝です。(by Ok)

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